消化器内科

Digest Organ

消化器病専門医による診断・治療をおこなっています。

消化器の病気には主に口から肛門までの消化管(食道・胃・小腸・大腸)や肝臓、胆のう、すい臓の病気などがあります。これらの臓器に炎症や異常が起こると様々な症状が出てきます。次のような症状があるかたは、遠慮なくご相談ください。

消化器の病気が原因の可能性がある症状

  • お腹が痛い
  • 食べ物がつかえる
  • 胸やけする
  • 胃の痛み、胃のもたれがある
  • げっぷ、吐き気がする
  • お腹が膨れている
  • 便秘や下痢を繰り返す、続く
  • 食欲の低下、体重減少
  • 黄疸がある
  • 黒い便が出る、便に血が混ざる

① 食道がん

食道は喉と胃の間をつなぐ管状の臓器で、食べ物の消化機能はなく、食べたものを胃へと送る働きをしています。
食道がんは60歳以降の男性に多く、日本人に多い扁平上皮がんは喫煙と飲酒に強い関連が指摘されています。両方の習慣がある人は、より危険性が高まることが指摘されています。

症状

初期の段階ではがんに伴う身体症状はほとんどありません。進行がんとなった場合は、食べ物のつかえ感、体重減少、胸がしみるような感じ、胸痛や背部痛、声がかすれる、血の混じった痰が出る、咳が止まらないなどの症状を認めます。

治療

がんの病理組織や進行度などによって治療方法は異なり、内視鏡治療、外科手術、抗癌剤治療、放射線治療などがおこなわれます。

② 逆流性食道炎

胃液や胃内で消化途中の食物が食道に逆流し、食道が炎症を起こしてびらん(粘膜のただれ)や潰瘍などを生じる病気です。
肥満、加齢、腹満、ストレス、食道裂孔ヘルニアなどが原因となり、胃酸の逆流を防ぐ仕組みが低下して起こるとされています。
近年日本人では増加傾向にあります。

症状

酸っぱいゲップや胸やけ、嚥下障害、胸の痛み、咳やのどの違和感など

治療

食事療法などの生活習慣の改善や胃酸分泌抑制剤、食道粘膜保護剤などの薬物治療を状態に応じておこないます。

③ 胃がん

胃内視鏡検査へ

④ ピロリ菌感染症

ピロリ菌の感染は胃がんや胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃MALTリンパ腫、特発性血小板性紫斑病など様々な病気の原因となっていると考えられています。
WHOは2014年に、胃がんの約8割はピロリ菌感染が原因であると報告しました。
ピロリ菌は幼少時に感染し、除菌をしない限り菌は胃の中に棲み続けます。現在は除菌治療が確立されており、ピロリ菌に感染していても除菌さえおこなえば、胃がん、胃潰瘍などの発生リスクを抑えることができます。

ピロリ菌検査

血液および尿中の抗体検査、便中の抗原検査、尿素呼気試験などの内視鏡検査を必要としない検査と、胃内視鏡検査による組織鏡検法、組織培養法、迅速ウレアーゼテストなどの方法があります。
ピロリ菌の検査や除菌治療は健康保険が適応されていますが、除菌治療を受けるためには内視鏡検査が必要です。

治療

抗生剤2種類と胃酸分泌抑制薬1剤を1週間服用して治療は終了です。 治療後1か月以降に除菌が成功したか否かの判定をおこないます。
初回の治療で約9割の方は除菌が成功しますが、失敗した場合は薬剤を一部変更して治療(2次治療)をおこなうことが保険診療で可能です。

⑤ 胃潰瘍/十二指腸潰瘍

胃酸により胃、十二指腸の粘膜が炎症により深く欠損が生じた状態を潰瘍といいます。一番の原因はピロリ菌感染症ですが、その他にも薬剤(消炎鎮痛剤やステロイドなど)やストレス、喫煙や暴飲暴食などが原因となります。

症状

腹痛や出血を認めます。出血を起こすと吐血や真っ黒な便が出ます。また潰瘍が進み、胃の壁を突き抜けて穴が開いてしまった場合(穿孔)は手術が必要となります。

治療
  • ピロリ菌感染を認める場合は、除菌治療をおこないます
  • 薬物療法として胃酸分泌抑制剤、胃粘膜保護剤、原因となっている薬剤を中止、変更します。

⑥ 急性胃炎

急性胃炎では暴飲暴食、過度の飲酒、刺激が強い香辛料、ストレス、薬の副作用などが原因で胃の粘膜が障害をうけ、炎症による胃粘膜のただれや出血などが起こります。

症状

胃が痛い、胃が膨れているような膨満感、胃周囲の違和感や不快感、胃もたれ、胸やけ、むかつき、食欲不振、嘔吐など

治療
  • ピロリ菌感染を認める場合は、除菌治療をおこないます
  • 薬物療法として胃酸分泌抑制剤、胃粘膜保護剤、運動機能改善薬などを症状に応じて使用します。

⑦ 機能性ディスペプシア

内視鏡検査などをおこなっても明らかな異常がないのに、慢性的な胃の痛みや胃のもたれ、膨満感などの症状を呈する疾患です。
胃の機能(働き)が障害されておこるとされており、日本人の4人に1人がこの機能性ディスペプシアであるともいわれ、決して珍しい病気ではありません。
原因の一つにストレスなどをきっかけに自律神経の働きが乱れるためなどが考えられています。

症状

食後のもたれ感、早期膨満感、みぞおちの痛み、みぞおちの焼ける感じ など

治療
  • 生活習慣を改めることで症状が良くなることは少なくありません。好ましくない生活習慣として、過食や早食い、不規則な食生活、喫煙、過度なアルコール、過労や睡眠不足、ストレスなどがあります。
  • 薬物療法として消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬、抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬などがあります。

⑧ 大腸がん

大腸がんと便潜血検査について

大腸がんの健診には便潜血検査が使われます。とても簡便な検査ですが、毎年便を2日間提出し、異常があれば検査をおこなうことで大腸がんでの死亡率を60-80%下げることができると言われています。
便潜血検査は2回のうち1回でも陽性に出た場合は検査が必要です。大腸がんでも毎回出血するわけではありませんので、進行癌でも20-30%、早期がんに至っては50%が陰性(偽陰性)になるといったデーターがあるからです。
従って、大腸がん発見の精度を上げるために毎年2日間おこなうことが非常に大切です。

一方、便潜血陽性の方に検査をおこなっても、約30-40%の方は異常なし(偽陽性)と診断されます。実際に大腸がんが見つかる方は便潜血陽性の方の2-3%とされています。

大腸内視鏡検査へ

⑨ 大腸ポリープ

大腸の粘膜の一部がイボのように隆起してできたものです。大腸ポリープはその構造により腫瘍性のポリープとそれ以外(非腫瘍性)のものに分けられます。
このうち、大腸がんになる可能性のあるものは腫瘍性ポリープである「腺腫」です。多くの大腸がんは大腸腺腫が大きくなり、腺腫の一部にがんが発生し大腸がんに置き換わってゆくため、大腸腺腫の段階で内視鏡的に切除できれば大腸がんを予防することができます。

⑩ 大腸憩室症

大腸憩室(けいしつ)とは、腸管の内壁の一部分が外側に向かって袋状に飛び出したものです。内視鏡で内側から見るとくぼみの様になっています。
好発部位は上行結腸、S状結腸で加齢とともに増加しますが、通常は無症状で治療の必要もありません。

まれに便が詰まって炎症を起こしたり(憩室炎)、憩室の中の血管が破れて出血(憩室出血)を起こすことがあります。

治療

憩室炎や出血を起こした場合は安静や点滴による治療をおこないます。内視鏡で止血処置をおこなう場合もあります。

⑪ 過敏性大腸症候群

大腸や小腸そのものには原因がないにもかかわらず、下痢や便秘などの排便異常、腹痛や腹部膨満感などの腹部症状が慢性的に続く症候群です。
便の性状によって下痢型、便秘型、混合型に分けられます。原因は不明ですが、腸の自律神経の異常、ストレスや不安など精神的な要因が影響していると言われています。

診断基準

最近3か月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す

  1. 排便によって症状がやわらぐ
  2. 症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
  3. 症状とともに便の性状(外観)が変わる。(柔らかくなったり硬くなったりする)
治療

まず生活習慣の改善、食生活の改善などをおこないます。暴飲暴食、過食、刺激物、高脂肪な食べ物を避け、ストレスを溜めず、十分な休養と睡眠をとるようにします。
薬物治療としては腸の運動を整える消化管機能調整薬やプロバイオティクス、止痢剤や抗うつ薬、抗不安薬など症状に応じて使用します。

⑫ 脂肪肝

脂肪肝とは、食べすぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまった状態をいいます。肝臓は沈黙の臓器といわれるように、痛みなどの自覚症状が無いことがほとんどです。
従来、脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積するだけであまり心配のない病気と考えられていましたが、非アルコール性脂肪肝炎に進行したり、狭心症、心筋梗塞など心疾患の合併が多く、生活習慣病の温床となることがわかってきました。

原因

食べすぎ 飲みすぎ 運動不足 肥満 急激なダイエットなどが原因に

治療

生活習慣が原因の脂肪肝は、生活習慣を改善すれば治ります。食事療法、運動、アルコールを控えるなどにて体重を減らすことにより、肝臓にたまった中性脂肪が減り、肝機能が回復します。

⑬ 胆石症

肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れ出る道を胆道と呼びますが、その胆道に石ができることを総じて胆石症といいます。胆石症は成人の10人に1人にあるとされ、比較的身近な病気です。

症状

症状がみられない方も多くいられる半面、胆道痛と呼ばれる、食後におこる右の肋骨の下の部分やみぞおちの痛み、右肩に放散する痛みを認めることがあります。
また胆石が原因で胆のうや胆管に炎症を起こしたり、胆汁の流れが堰き止められることによる黄疸や胆管炎、膵炎など、重い病気を引き超すこともあります。

治療

明らかな症状がない「無症状胆石」は治療をおこなわずに経過観察とします。おなかの痛みなどの症状がある場合には手術による治療が原則です。
胆管内の結石は内視鏡的に取り除きます。小さな結石の場合は薬による溶解を試みることもあります。

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